「工賃向上計画」とは、厚生労働省が策定した平成24年度から平成26年度までの3ヵ年の就労継続支援B型事業所等での工賃水準を向上させるための計画のことであり、個々の事業所においても原則として「工賃向上計画」を策定することを求めています。
工賃向上のためには、事業所責任者の経営感覚と強い意志に基づく強力なリーダーシップが不可欠です。そして、事業所のスタッフ、利用者や家族に対しても経営方針を示し、共有するためにも「工賃向上計画」の策定は必要なのです。
※「工賃向上計画」策定の前に、まず適切な工賃を支払うためには、就労支援会計基準を適用する必要があります。就労支援会計基準の導入については、こちら
工賃実績
北海道で働く就労支援B型事業所の工賃の実績は下記のとおりです。全道の平均工賃は徐々に上がってきていますが、まだまだ十分とは言えません。

事業所数 | 支払延人数 | 支払総額 | 平均工賃/月 | |
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H18 | 213施設 | 72,776人 | 1,113,806,394円 | 15,305円 |
前年度比伸率 | - | - | - | - |
H19 | 236施設 | 80,135人 | 1,228,586,259円 | 15,331円 |
前年度比伸率 | 10.8% | 10.1% | 10.3% | 0.2% |
H20 | 293施設 | 91,258人 | 1,335,653,397円 | 14,636円 |
前年度比伸率 | 24.2% | 13.9% | 8.7% | -4.5% |
H21 | 338施設 | 93,553人 | 1,474,360,461円 | 15,760円 |
前年度比伸率 | 15.3% | 2.5% | 10.3% | 7.6% |
H22 | 401施設 | 102,546人 | 1,707,263,855円 | 16,649円 |
前年度比伸率 | 18.6% | 9.6% | 15.8% | 5.6% |
H23 | 475施設 | 104,607人 | 1,938,432,318円 | 18,531円 |
前年度比伸率 | 18.5% | 2.0% | 13.5% | 11.3% |
H24 | 524施設 | 114,205人 | 2,165,150,285円 | 18,958円 |
前年度比伸率 | 10.3% | 9.2% | 11.7% | 2.3% |
※対象施設H23年度以前:就労継続支援B型事業所、旧法体系の入所・通所授産施設及び小規模通所授産施設
H24年度:就労継続支援B型事業所
「工賃向上計画」策定のメリット
事業所が「工賃向上計画」を策定することにより大きなメリットがあります。
- 1)報酬上の加算があります。
-
加算:10単位(1人/日)
例)50人が月20日通所の場合
50人×20日×12ヶ月×100円(10単位)=120万円/年の増収(要件)
①前年度平均工賃が北海道の就労継続支援B型事業所平均工賃の80%以上である。
②「北海道働く障がい者応援プラン―工賃向上5か年戦略―」への積極的参加及び「工賃引き上げ計画」の作成(予定を含む)
- 2)利用者のモチベーションが上がります。
- 工賃を向上させていく過程では、業務の中で様々な工夫が必要です。働く障害者の方も「工賃向上計画」という明確な目標に向けて工夫をし、その結果として自分たちの工賃が上がることは働くモチベーションアップになります。
- 3)事業者の経営感覚が向上します。
- 売上の見込みや想定される原価を積み上げ、工賃支払前収支を緻密にシミュレーションすることにより、「工賃向上計画」を机上の空論に終わらせず、具体的な行動につながります。
例えば「売上を上げる」といってみても、どの品目で、どういった顧客に対して、何%上げるか、といったことが明確でなければ、その手段も明確になりません。「コストを下げる」も同様です。
「工賃向上計画」を目標に日々の経営を行うことで、経営感覚が身についていきます。働く障害者のためにも、事業所の経営を良くして継続して行かねばなりません。
「工賃向上計画」策定支援の流れ
「工賃向上計画」の策定には、障害福祉のことだけでなく、経営にも精通している人が必要です。札幌駅前介護・障害福祉センターなら、専門のスタッフが「工賃向上計画」の策定をサポートしますので安心です。
- STEP1事業所の現状分析
- 既存事業の販売管理、商品管理、生産性の分析により、事業所の強み・弱み等の把握等を行います。
- STEP2就労支援会計基準の導入
- 就労支援会計基準の導入により適切な工賃の算出。事業毎の収支を把握します。
- STEP3マーケティング調査
- 市場ニーズ調査、販路、事業種類毎の競合先の情報収集・分析等、今後の事業展開の可能性を探ります。
- STEP4収支工賃計画表
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売上、原価の見込みを立て、収支工賃をシミュレーションします。
事業所の現状分析やマーケティング調査結果をふまえて、目標を立てていきます。
収支工賃計画表→
- STEP5工賃向上計画
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事業所理念の再確認・再構築、収支工賃計画による「工賃目標」達成に向けた全職員の合意をとり、実践的な経営戦略を決定して「工賃向上計画」を完成させます。
工賃向上計画→