利益と手元の現金は一致しません
黒字倒産という言葉を聞いたことがありますか。会計上は黒字であっても、会社が倒産してしまうことを「黒字倒産」と言います。
黒字なのに倒産してしまうのは奇妙なことのようにも思えますが、お金が流れる仕組みを知ると「なぜ黒字倒産が起こるのか」を理解することができます。
報酬のうち1割の利用者負担金は、通常、利用時に現金で回収しますが、残りの9割の給付費は、その場で回収できるわけではありません。翌月1~10日の間に国保連に請求し、さらにその翌月25日に回収できるのが通例です。
4月1日に行ったサービスに対する料金は、翌々月の6月25日になって、ようやく全額が回収できることになります。
しかし、この間も人件費や工賃、家賃、光熱費などの経費はどんどん発生します。それら諸経費を先に支払うための運転資金が必要で、それがなければ事業は行き詰ってしまいます。

税金に注意
また、税金にも注意が必要です。税金は、手元に残っている「お金」に対して課税されるわけではなく、事業者の利益に対して課税されます。その利益というのは、サービスを行った時点で売上として認識された数字になります(発生主義)。お金は利用者負担分の1割しか回収していなくても、税金は10割分を売上高として計算します。
例えば3月31日を決算日とする法人の場合、5月31日が法人税の申告・納付期限となります。3月のサービス提供による報酬が1000だとして、3月末時点では1割の100しか回収していませんが、税金は資金回収とは関係なく、売上高1000として認識します。国保連からの回収は5月25日ですから、5月末の法人税納付には間に合いますが、資金繰りとしてはギリギリになりかねません。
国保連からの入金サイトを考慮して、運転資金を準備しておかねばなりません。十分な事業資金がなく創業される方もいらっしゃいますが、単月での収支だけでなく、数ヶ月先までの資金繰りも十分検討するようにしましょう。
札幌介護・障害福祉支援センターでは、障害児通所支援事業者の資金繰り改善、資金調達を支援しています。ご相談のある方は、当センターまでお気軽にご連絡ください。
新規創業の場合
公庫などの創業融資を活用するのは勿論ですが、融資だけで事業を始めることは出来ません。ある程度まとまった自己資金は絶対に必要です。
「ある程度まとまった」がどの程度かといいますと、およそ必要な開業資金の3~5割程度、と考えておけばよいでしょう。少なくとも数百万円単位になります。
他業種などの事業主として既に実績がある場合
公庫や銀行などの通常融資制度を活用することになりますが、これから始める予定の新規事業の内容はもちろん、既存事業の実績も判断材料にされます。つまり過去の決算内容が重要になります。
※助成金について
福祉系の事業であれば、色々と使える助成金はあります。しかし、助成金頼みの資金繰りは感心できません。助成金が入金されるのは半年後、1年後の話ですし、そもそも希望通り満額入金される保証はありません。
助成金はオマケ程度、貰えれば儲けモノ程度に考えておくべきです。
創業融資サポート
創業時の不安定な時期に民間の金融機関からお金を貸してもらうのは容易ではありません。また、ノンバンク系は高金利の資金調達手段となりますので、創業時にはあまりオススメできるものではありません。
そこで、オススメしたいのが日本政策金融公庫(旧:国民生活金融公庫)の「新創業融資」と各都道府県や市町村が取り扱う制度融資の一部の「創業融資」です。
これらはいずれも担保や保証人の確保が難しい人でも利用できる無担保無保証での借り入れが可能な政府系融資なのです。民間の金融機関よりも低い金利で借入ができることもポイントです。
創業融資サポートの流れ
- STEP1お客様とのご相談を通して、事業計画書、資金繰り表、売上収支予測表などの作成を行ないます。
- STEP2日本政策金融公庫・保証協会へ融資の申し込み
- STEP3面談に当たってのポイントをアドバイス
- STEP4お客様自身で、面談を行っていただきます。
- STEP5融資獲得!
- 創業融資サポート料金
- 融資成功額の3%
審査に通るためのポイント
融資の審査に通るためのポイントは、以下の通りです。
融資の審査に通るためのポイント
- 1.事業計画書
- 2.業務経験、能力
- 3.資金力
- 4.保証人と担保力
- 1.最も大切だといえるのが、事業計画書
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面談時には、事業計画書で審査されます。沢山書く必要はありませんが、下記の項目についてしっかりと書けていなければ審査の面談で相手を納得させるだけのプレゼンをすることはできません。
- 1)開業動機・開業目的
- 2)将来の展望(目標)
- 3)仕入計画
- 4)資金計画
- 5)売上予測
- 6)収支計画
- 7)返済計画
- 8)人員計画
そして、上手に話す必要はありませんが、事業を成功させたい、そのためにこれだけしっかりとプランも立てましたという熱い気持ちを伝えることが、最も大切なことだといえます。
- 2.業務経験や能力
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業務経験や能力についてもしっかりと見られます。
貸す側としても全く業務経験がなかったり、能力的に不安のある人よりも、業務経験があり、この人なら大丈夫だろうと安心感のある人に貸したいものです。
また、当然政府系金融機関といえど、資金回収はしなければいけません。
計画書を作った時点で、追及されそうな点などもわかりますので、しっかりと対策を立ててから望みたいものです。
- 3.資金力
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日本政策金融公庫での開業融資は自己資金要件があります。
創業資金全体の3分の1以上の自己資金を用意する必要があります。融資上限1,000万という枠がありますが、事業計画の1/3なので900万円ならば300万円は自己資金が必要になります。例外的な対処策としては、現物出資で資金調達や融資申し込み前に支出した経費を「みなし自己資金」としたりという方法もなくはありませんが、着実に自己資金を蓄えてきたという堅実な姿勢を担当官に伝えることも信用を勝ち取る材料の1つになります。
- 4.保証人と担保力
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そして、4つめが保証人と担保力の問題です。
融資をする以上、政府系金融機関も回収見込みを見極めようとします。保証人や担保を用意出来る人は付けた方が借り入れ条件は間違い無くよくなります。とはいえ、保証人も担保も用意することは難しいという方もいらっしゃいます。そのような方には、多少金利は高くなりますが、無担保無保証型の融資もあります。
どのような融資を選ぶかは、ご自身のビジネスプランに合わせて選択していただければと思います。
もちろん、お客様にあった融資をご提案させていただきますので、お気軽に当札幌駅前介護・障害福祉支援センターにご相談ください。